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『怪猫トルコ風呂』(ネタバレあります) [レビューなど]

去年の12月に観賞してmixiに載せたレビューですが、こちらに転載するのを忘れていました。
室田日出男ファンの端くれとしてお恥ずかしい限りです。


ポーの『黒猫』と男の憧れが夢のコラボレーション!情夫を信じた挙げ句、お腹の子供もろとも責め殺されたトルコ嬢。なおも止まぬ悪業に、黒猫パワーを借りた彼女の怨念がトルコ風呂で炸裂!実質的な主人公は鬼畜のホームラン王、室田日出男。今度の日出男は犯す殺す隠す!三位を極めた後に、はらわた垂らして誅される熱演を見よ!バカな企画に煽られた物見遊山の野次馬を本気で後悔させてやれ!全力で描かれる虐待シーンも凄まじい怒濤のバイオレンスホラー。(☆☆☆☆)


あまりにも無茶なタイトルにホイホイ釣られて観ましたが、これが本気なのか破れかぶれなのか、かなり血みどろのホラー作品でありました。



1958年3月、売春防止法の施行により赤線は営業を禁じられました。
売春宿の主、殿山泰司は店の女の子を集めて宣言します。
「明日から、ここをトルコ風呂に改造する!」
えー、つまりやることは一緒ってことです。
女の子たちは明日からの身の振り方に不安を感じていた連中ばかり。一も二もなく残留の意思を表明しますが、その中に一人だけ、辞めさせて欲しいという従業員が。
愛猫クロを抱いた谷ナオミです。
妙に徒っぽい主の後妻、真山知子は、
「まだ借金も返し終わってないのに、踏み倒しかい!」
と毒づきます。
結局翌朝、谷ナオミは純粋無垢な店主の先妻の娘、東てる美の見送りを受けて愛する情夫とともに新居へ向かいます。
出迎えたのはこともあろうに室田日出男。
ナオミ…あんた絶対騙されてるよ…。
さっそくアパートでイチャイチャし始める二人。
「ねえ、お願いがあるの」
「なんだい?」
「今度、郷里から私の娘が上京してくるんだけど、ここで一緒に暮らしてもいいかしら?」
「ああ、いいとも」
ここまで話が済んだところで、チンピラたちが乱入、室田が借金を踏み倒して逃げてきたと言い、殴る蹴るの暴行を加えます。
「やめてください!借金のぶんは私が働きますから…」
結局、「トルコ 舞姫」と名を改めた元の職場に舞い戻るナオミ。
そんな彼女を尻目に、先ほどのチンピラたちと飲み歩いている日出男。
「お前等の演技は荒っぽくていけねえな」
トルコ就職の前金を分配します。
そんな中、いかにも田舎娘然としたナオミの妹、大原美佐が登場。
隣で寝ている彼女に見せ付けるようにナオミとの情事で燃え上がる日出男。
そうだ日出男。それでこそ日出男。そんな君を待っていた。
さらに、店主の後妻の真山知子にナオミの給金を還流して、彼女を住み込みで働かせるよう依頼し、
「あんた、いい体してるな」
などと誘惑して接近を図ります。
こうなると次の展開は読めましたね。大原美佐がシャワーを浴びていると当然のように日出男侵入。
そうだ日出男。それでこそ日出男。
目を見開いて口だけ笑う、日出男スマイル来たー!
(説明しよう!日出男スマイルを目の当たりにした女性は、そのあと酷い目に遭うのだ!)
美佐、降り注ぐシャワーに打たれながらロストバージンであります。
美佐が泣きながら髪をとかしていると、勤務時間中のナオミがなぜかひょっこり帰ってきます。
泣き濡れる妹の様子を見て、事態を察したナオミ、突如日出男に果物ナイフで切りかかりますが、腕を切られて苦しむ日出男を見て我に返り、一転して
「ごめんなさい、あなたー!」
と泣きつきます。
救いようのない姉の状態を見て、表に飛び出す美佐。
そして日出男は逆襲に出ますが、ナオミはとっさにお腹を庇います。
「この中にはあなたの子供がいるの!」
「なにい!そんなこと言うために仕事サボって帰ってきたのか!」

舞台は一変、雪の舞い散る「舞姫」の裏庭。
折りしも、無断で仕事を抜け出したナオミが、やたら入念に緊縛された挙句半裸で木に吊るされています。
数人の従業員が見守る中、前々からナオミを嫌っていた真山知子が竹刀を握ります。
「バカにしやがって!思い知らせてやる!」
全身くまなくビシバシ殴打、おっぱいやお腹をぐーりぐり。
なぜか知子のヒモと化していた日出男もオブザーバー状態で同席しています。
「さあ、あんたも」
日出男の手には一体何に使うのか、ぶっとい木の棒が握られています。
全く手加減することなくナオミを叩きのめす日出男。もう今の彼にはナオミなどというしょっぱい金づるは不要なのです。
「やめて!お腹にはあなたの…」
そう言われればもっとやるのが日出男!
「そんなの誰の子供かわかったモンじゃないだろうが!」
と一喝し、容赦なく腹部をドスドス突きまくります。
ひでー。まさに鬼畜の所業です。
そうだ日出男。それでこそ日出男。
常人が躊躇うことを平然とやってのける!そこに痺れぬ、憧れぬ~!
半端ない折檻を受け続け、ようやくこんな男を信じ続けた自分の愚かさを悟ったのか、物凄い目で日出男を睨みつけるナオミ。
一瞬ひるんでから、さらにすごい勢いで打ち据える日出男。この小物っぷりも堪りません。
やがて、上下のお口からどぼどぼ出血してナオミ絶命。(この演出えぐいなあ)
日出男と知子によって、庭の隅の倉庫の壁に塗り込められてしまうのでした。
かーっ!
ここで突如クローズアップされる黒猫の目。
ナオミの愛猫、クロはそんな一部始終を見つめていたのでした。

そんな事があってから半年後、「舞姫」に、やたらと摺れた厚化粧の美佐が現れ、トルコ嬢として働くことになります。
日出男は店のマネージャーに出世していました。殿山泰司は「社長」として一帯の組合長をしています。
美佐は何故かオネエ言葉の常連客、山城新伍のレクチャーを受けるはずが、半年の間に覚えた超絶テクで逆に昇天させます。
さらに泰司も彼女にテクニックを指導。
美佐はたちまち売れっ子になり同僚の妬みを買いますが、好色絶倫の日出男が見逃すはずもなく、彼女を連れ出してカーセックスに及びます。
美佐も美佐で、「始めての人が一番いいわ」なんて応じます。
しかしそこは腹に一物を秘めた美佐。
「あなたと奥さんの関係を知ったら、社長はなんて言うかしら?」
それを受けて、その日の夜日出男が知子と協議します。
「そろそろ、あの人を殺して、遺産もお店も貰っちゃいましょうよ」
などと恐ろしいことを言いながらイチャイチャしていると、案の定泰司が乱入。
「きさまらあ!」
知子に掴みかかる泰司の後頭部を、日出男がビール瓶で強打!
卑怯な行動にも一切の躊躇いがないところが、実に日出男です。
禿頭を血に染めて、よろよろと壁にもたれかかる泰司。しかし不敵な笑みを浮かべます。
「ふん、貴様等の思い通りにはいかんぞお。金も、この店の権利も、既に娘の名義じゃい!」
ここで一気に東てる美がメインキャラに昇格。
腹立ち紛れに知子がアイスピックで泰司を刺します。
ブスッ!
ブスッ!ブスッ!ブスッ!ブスッ!
…おいおい、ちょいと執拗過ぎやしないかい?
調子に乗って日出男も割れたビール瓶で腹部をえぐります。
「ぐううう!」
大量に出血して泰司死亡。
日出男と知子は再び倉庫に出向き、今度の死体は大きな樽に押し込めて隠蔽を図ります。
かーっ!
ナオミの愛猫、クロはここでも一部始終を見つめていたのでした。

「日出男さんと結婚しなさい」
いきなりの継母知子からの命令に、呆然とするてる美。
「でも、おとうさんは…」
「いま大阪に出かけてるお父様も了承済みよ」
にべもない知子。遺産を横取りするためには手段を選びません。
どうしても得心がいかないてる美は、夜な夜な父親の部屋に忍び込みます。
クローゼットのスーツのポケットから、大阪行きの切符が零れ落ちます。
そこに日出男!暗闇に日出男!
あっ!しかも日出男スマイルを浮かべているっ!
「日出男さん!おとうさんは大阪になんて行ってないわ!」
この状況下で疑惑の渦中の張本人に問いただすなんて馬鹿正直にも程があります。
「それがどうしたんだい?」
案の定開き直る日出男。
こうなると次の展開は読めましたね。やにわにてる美に組み付き、ビリビリと服を破る日出男。
そうだ日出男。それでこそ日出男。
逃げるてる美を追い詰めて、まんまと処女を奪うのでした…。
かーっ!
ナオミの愛猫、クロはここでも一部始終を見つめていたのでした。

結局てる美は世を儚み、リストカットの末絶命します。
その亡骸を見つけたのは美佐です。彼女は尋常ならざる事態を察知します。
全部お前のせいだけどな。
そしてこの頃には、「舞姫」の中を謎の影が徘徊するようになっていました。
「あっ、猫!」
夜、日出男との逢引の最中、障子に巨大な猫の影を認めて知子は慄きます。
日出男が怪訝そうに障子を開けますが、誰もいません。しかし、廊下には片腕がごろりと落ちていました。
さっそくおっかなびっくりと倉庫へ向かう野望カップル。
しめて置いた筈の樽の蓋が開いており、泰司の死体から片腕が切り取られていました。
「一体誰がこんなことを…」
そこに飛び掛る黒い影。
クロです。
クロは野望カップルを恐怖に陥れますが、持ち直した日出男の鉈の一閃によって首を切り落とされます。
それにしても、何でもあるなあこの倉庫。
一部始終を目撃しているのは今度は美佐。
やれやれとカップルは出て行きましたが、やがてクロの血しぶきがいつか塗り込められた壁に染み付き、赤いシミは人型になり、ひびが入り、崩壊します。
中からついに変態を遂げた谷ナオミ(化け猫バージョン)出現!
彼女は一瞬にして消え失せます。
美佐は崩壊した壁の前で、見覚えのある簪を拾います。それは亡き姉が愛用していた品でした。
「やっぱり姉さんはあいつらに殺されたんだ」
真相に打ちのめされた美佐が庭に出ると、知子と同僚たちが待ち構えていました。
「こんなとこで何してたんだ!言え!」
はいはーい、今作2度目の折檻ショーがはじまるよー。 ぱふぱふー。
今度は井戸の釣瓶に縛られて、穴の中をアップ&ダウン。
で、上がりきったところを、普段から売れっ子憎しの同僚&知子が竹刀で滅多打ち。
例によってこの辺の描写も執拗です。やがて気を失い、水中に落下する美佐。ところが、急にロープが上がりだして穴の中から今度はナオミ(変態済み)が出現!
髪が白いぜ!白装束がシースルーだぜ!瞳が金色だぜ!
うわ何この人!変態だ! (文字通り)
あまりの姿にパニックに陥る同僚たちの喉笛に喰らいつき、一人また一人と斃すナオミ。
しかし悪の親玉知子は、頬を引っかいただけで逃がします。

座敷に逃げ帰った知子は日出男にカクカクしかじかと報告しますと、障子に巨大な猫の影が映ります。
でたー!
白ずくめのナオミ登場!どーでもいいけど、シースルーだから乳輪が透けてるぞ!
日出男、やにわに飾ってあった槍を取って戦います。おお、これぞ宝蔵院流の源流はこれか!(1981公開の『魔界転生』で日出男は宝蔵院胤瞬を演じます)
絶倫ちんこの誇りを賭けて突いて突いて突きまくる日出男。ひらりひらりとかわすはナオミ(シースルー)。
障子の向うに隠れたナオミに向け、槍を繰り出す!
ぶすっ!
確かな手応え!飛び散る血飛沫!思い知ったか化け物が!
と、障子もろとも倒れこんできたのはなんと知子。
なんてこったい!

場面は変わってトルコの一室。
日出男が美佐を口説いています。
「なあ、金ならたんまりある。これを山分けして二人きりで暮らさないか」
「いいわよう」
艶然と承諾する美佐。先ほどの折檻の痕はどこにもありません。
やがて泡プレイに高じる二人。
片や、たった今愛人を殺した男。片や、さっきまで集団リンチを受けていた女。
神様、彼らは狂っています。
「おお、天国だあ!」
同年公開で、変態社長を演じた『東京ディープスロート夫人』の決め台詞(http://kurohiko.blog.so-net.ne.jp/2008-09-20)を思わずもらした日出男に対して、
「あんたが行くのは天国じゃないよ!地獄さ!」
さっき拾った簪を差し出す美佐。
「あたしはね、姉さんがお前に殺されたと思ってこの店に来たのさ!」
と、何の勝算もなしに襲い掛かりますが、かつての姉同様あっさり逆襲されて首を絞められます。
美佐あやうし。
そこに!…こうなると次の展開は読めましたね。
ナオミ(シースルー)が登場。
金庫からかき集めた札束の入った鞄を抱えて逃げる日出男、追うナオミ(シースルー)。
やがてロビーで飾ってあった日本刀を抜いた日出男、やにわに逆襲に出ます。
斬る日出男。
かわすナオミ。
一瞬の隙を突いてナオミが日出男に飛び掛り、彼の側頭部から血が噴出します。
「ぎゃあああ!」
耳が食いちぎられました。
追撃の手を緩めぬナオミは、鋭い爪の伸びた指先を眼窩に突き入れます。
「ぎゃあああ!」
目が!目がー!
バルス!(違うって)
視覚を失い、滅多やたらに刀を振り回す日出男の懐に入ったナオミの抜き手が下腹部に突き刺さる!
「ぎゃあああ!」
大量の出血とともに、ぼろっと腸がはみ出します。すっげー!
うわああああ!
日出男、かつてないズタボロぶりです!
しかしそこは6年後の魔界衆。ナオミのあげる猫の鳴き声を頼りに刃を一閃、見事ナオミの首が宙を舞います。
しかし、首は空中で弧を描いて日出男の頚動脈に喰らいつきます!
ぶしゃああああ!
この作品最大の噴血!
もんどりうって倒れる拍子に石油ストーブが倒れ、周囲は炎に包まれます。
さらに炎は日出男の背中に引火!
「ぎゃあああ!」
4度目の絶叫とともに、日出男火だるまw
すげー!凄過ぎる!
ここまで念入りに痛めつけられる悪役を自分は知りません。ていうか、普通の人間なら2度は死んでるぞ!
一方、浴槽で気を失っていた美佐は間一髪で炎上する「舞姫」から脱出します。
すでに白み始めた空を見上げると、朝焼けに染まる空に、すっかり顔から険の取れた白装束のナオミが、あたかも菩薩のような微笑を浮かべて昇天していくのでした。
どーでもいいけど、シースルーだから乳輪が透けてます。
ああ、成仏するのね姉さん。
遠ざかる乳輪とともに、悪行への復讐は幕を下ろすのでありました。


上でも少し触れましたが、同年公開の『東京ディープスロート夫人』も併せて観れば、室田日出男さんの卓越した変態演技を堪能できること請け合いです。
って、どちらもソフト化されていないのですが。
リリースされたら買いますね。まず。
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