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『グルジア戦争とは何だったのか』(&映画『5デイズ』の感想) [雑記]

2008年8月7日、北京五輪開幕の陰で世界からほぼ無視されたまま開始されたグルジア戦争。グルジアによる自治区域南オセチアへの攻撃か、はたまたグルジアへのロシアの侵攻か。ロシア(および南オセチア)とグルジアの言い分が食い違い、未だ開戦の理由も、戦況も、被害さえ確定しない戦いを紹介したブックレット。


映画『5デイズ』関連書籍として渋谷シアターNでゲット。映画はグルジア政府全面協力の元、彼の国の視点でロシアを悪玉として、虐殺やジャーナリストへの攻撃などを非難する内容でした。
しかし、開戦前から既に付近では小競り合いが頻発しており、ロシアのメドベージエフ大統領はモスクワを離れ、プーチン首相は北京五輪開会式に出席中というタイミングを鑑みれば、グルジアによる火事場泥棒的侵攻も疑わます。
南オセチア民兵による虐殺はあったと思われますが、後ろ盾であるロシア軍と正面衝突してしまえば予想できる事でもあり、戦争に至る前に外交的解決を放棄していたグルジア政府の舵取も問われそうです。
また、ロシア参戦を想定していたとするならお粗末過ぎるグルジア軍の失策も、本書にはいくつか挙げられています。

旧ソ連構成諸国でどこまでも細分化していく民族主義と独立志向にロシアの分割統治政策が入り込み、入れ子構造の軍事衝突が繰り返されている背景を踏まえれば、映画のような一方的な論調は海外へのアピールであることがわかってきます。
ことにグルジアはイラク平和維持軍へも参加しており、ロシアの影響下を離れて西欧諸国と誼みを通じたがっており、この映画もその国是の延長でしょう。
しかし、これがつまらない。

自由主義諸国へのアピールとしてジャーナリストの受難を描く(実際に5人のジャーナリストが落命している)も、グルジアの潔白も盛り込まなきゃいけないわけで、主題にブレが生じています。
もとよりジャーナリズムに迫真性を持たせたいのなら、肩入れは程々に押さえる必要があります。
全体的に甘いトーンでご都合主義的展開が目立ち、娯楽と実録の分別がついていないため、稚拙な戦争アクションに落ち込んでいる印象です。
「市街戦の真っ最中にのんびりキスなんかしてんじゃねぇ!」
とか突っ込みながら観てました。

プロパガンダ作品は、胡散臭さが少しでも引っ掛かると一気に低評価となるハードルの高いジャンルですが、『5デイズ』は呆れるほど脇が甘かった。
もっとちゃんと「正義」に酔わせてくれよ、と言いたいです。
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