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2011公開映画ランキング [レビューなど]

TBSラジオの「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の「シネマハスラー」のコーナーで、今年公開された映画のランキングを放送しました。
年に一度のお楽しみ…と30位から21位までを聴いていたんですが、そこではたと気付きました。

俺のランキング、まだやってないじゃん!

と、いうわけで、ポッドキャストの方は自分のランキングに影響しちゃいそうなのでここで聴くのを中止。
毎年恒例の手前味噌企画、公開映画ランキング行きます!

今年観た本年度公開作品は58。 (12/20現在、過去作を含めると228本)
おお。けっこう観たものです。
個人的な傾向としては、洋画の話題作はけっこう観に行ったつもりですが、邦画の話題作はとんと食指が動きませんでした。(ヤマトもジョーも原作知らないし…)
従って今年に限って言えば邦画より洋画をたくさん観ました。そして、総じて洋画の方がレベルが高かったように思います。
いや、邦画はダメそうな作品を率先して観に行ったからか…。
何はともあれ、結果はこちら!(もったいぶってベスト10は後ほど)


11.スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団
12.コンテイジョン
13.X-MEN ファースト・ジェネレーション
14.沈黙の春を生きて
15.猿の惑星:創世記(ジェネシス)
16.スプライス
17.マネーボール
18.SUPER 8/スーパーエイト
19.人喰猪、公民館襲撃す!
20.ザ・ファイター


・岩波ホールで公開されたドキュメンタリー作品『沈黙の春を生きて』。
レイチェル・カーソンの名著をタイトルに取り入れ、アメリカ、ベトナム双方で今なお枯葉剤の被害に苦しむ人々を追っています。理不尽としか言いようのない障害を負いながら、それでも胸を張る人から尊厳という言葉の意味を考えさせられました。

・新宿バルト9で深夜にひっそりと公開され、パンフさえ売られなかった『スプライス』。
先述の「シネマハスラー」で、「ちんこ形のモンスターが血みどろ対決する!」と聴いて爆発的な使命感を覚え、2月の真夜中に自転車で駆けつけました。
モンスター育成リアルシミュレーションであり、妊娠中もしくは幼児を育ててらっしゃる方には絶対オススメできない悪夢のような作品です。大好き!

・佐清Vのメンバー2名と冗談半分で観に行ったら、実はホームランだった『.人喰猪、公民館襲撃す!』。
モンスター映画の王道を茶目っ気たっぷりに作りかえて見せた、愛すべき快作です。韓国映画の基礎体力をまざまざと見せつけられました。


21.MAD探偵 7人の容疑者
22.ソウル・キッチン
23.トランスフォーマー ダークサイドムーン
24.キックアス
25.フード・インク
26.トゥルー・グリット
27.ブンミおじさんの森
28.エンジェル ウォーズ
29.ファンタスティックMr.FOX
30.ミッション:8ミニッツ


・相変わらずカッコイイとしかいいようのない映像を職人的に紡ぎ出す、ジョニー・トー(今回はウォン・カーファイと共同監督)作品『MAD探偵 7人の容疑者』。
超能力ものであり刑事物であり相棒ものでもあるサイコスリラーです。いいから観てみなさいって♪
異能者の孤独をシビアに浮き彫りにする手腕は、デヴィッド・クローネンバーグの『デッドゾーン』に似た味わいでしょうか。

・.『トランスフォーマー ダークサイドムーン』。
派手で映像凄くて長くて、本年度最も疲れる映画でしょう。しかも3D。あなたわたしに死ね言いますか。

・アメリカの恐るべき食糧事情をチャキチャキとまとめたドキュメンタリー作品『フード・インク』。
TPP問題の予習に最適です。

・観た後は狐につままれたように思えた、パルム・ドール受賞作『.ブンミおじさんの森』。
『遠野物語』や『高野聖』にも似たアニミズム礼賛ですが、自然の中で命は時を越えて循環していて、自分が死んでもいろんなものが見守ってくれている…。そう気付くとなんだか泣けてくる。でも観ているときは眠れてくる…。そんな不思議で、とても美しい映画でした。


31.三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
32.サヴァイヴィング・ライフ-夢は第二の人生-
33.ゴモラ
34.ウィンターズ・ボーン
35.はだしのゲンが見たヒロシマ
36.キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー
37.まほろ駅前多田便利軒
38.セヴァンの地球のなおし方
39.大鹿村騒動記
40.わたしを離さないで


・何気に気に入ったのが単純明快で由緒正しいヒーロー活劇『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』。
分を弁えた脇役たちの活躍が爽快です。
ミラ・ジョヴォビッチのミレディもかっちょいい!
何も考えずにすっきり観られます。

・現代アメリカ残酷物語『ウィンターズ・ボーン』。
道路しか整った設備のないゴミだらけの寒村で孤立し、虐げられる弱者の姿を見せつけられます。
『フローズン・リバー』に近い位置づけですが、あちらには立場の違う他人と手を携えて未来へ踏み出していく希望がありました。
こちらには…。
アメリカの現在は日本の未来、と思うと真っ暗な気持ちになれます。

・このあたりからようやく邦画が現れます。『.はだしのゲンが見たヒロシマ』は取り立てて特徴のない、しかし手堅い証言映画。
上映後にテレビ電話で中沢啓治さんのメッセージが伺えてラッキーでした。

・環境問題を扱ったドキュメンタリー『.セヴァンの地球のなおし方』。
1992年リオで開催された環境サミットでスピーチをした当時12歳の少女は、その後も環境問題に取り組み、現在は一児の母親になっています。
二酸化炭素対策として推進された原発を「最悪の環境破壊」と言い切る彼女の眼差しが印象的でした。

・カズオ・イシグロの原作を先に読んでしまったので興ざめしてしまった『わたしを離さないで』。
いや、映画から観るなら十分アリです。


41.ありあまるごちそう
42.探偵はBARにいる
43.マイティ・ソー3D
44.共喰山
45.アンダルシア 女神の報復
46.トロン:レガシー 3D
47.エッセンシャル・キリング
48.星を追うこども
49.5デイズ
50.グリーン・ランタン


・北海道で大ヒットを記録した札幌周辺ご当地作品『探偵はBARにいる』。
「もしドラ」とは異なり、身体からしっかり作った大泉洋の本気を感じます。
しかし一番の収穫は高嶋政伸の悪役。これがけっこう恐い。エンドクレジットを見るまで誰だかわかりませんでした。まさにプロの仕事。

・46位以下はフォローする気が失せる作品が続きます。『トロン:レガシー 3D』は今年最高のがっかり映画でしょう。映像はいいんです。映像だけは。

・監督自らジブリ作品を意識したという『星を追うこども』。
驚異的なクオリティーで歴代ジブリ作品のエッセンスを抽出しており、元ネタ探しをせざるを得ません。これでいいのか…。

・2008年のグルジア戦争を、ジャーナリストの受難と見せかけてグルジアサイドから一方的に描いたプロパガンダ映画『5デイズ』。
プロパガンダならプロパガンダらしく、揺るぎない正義を見せて欲しかった。荒唐無稽でもいいけど、陳腐じゃ肩入れできません。

・DCコミックスのヒーローを映像化した『グリーン・ランタン』は、今年公開された作品の中でもトップクラスの馬鹿馬鹿しさではないでしょうか。衒いの無さに苦笑するしかありませんでした。
とりあえず、チラシの写真にはピンボケしていないものを使うべきだと思いました。


51.インモータルズ
52.海と自転車と天橋立
53.はやぶさ/HAYABUSA
54.ツーリスト
55.手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく
56.もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
57.セカンドバージン


・ここまでくると、どれもこれも「おすすめできない」どころか「観ないで!」と言いたくなるような老婆心まみれの感慨が込み上がってきます。

・嘘と悪趣味だらけの『インモータルズ』。

・客観性を欠き主題が空中分解している自己満足映画『海と自転車と天橋立』。

・陳腐な構成と、即席企画の化学反応が腐臭を放つ『はやぶさ/HAYABUSA』。

・2大スターの共演ながら、何から何まで予想通りの展開。世界的観光都市ヴェネツィアをちっとも美しく見せてくれない失敗作(断言)『ツーリスト』。

・30年前の水準で満ち足りている作画に、頓珍漢なキャスティングをあてて支離滅裂な物語が暴走する『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』。(チケットは350円)

・空恐ろしいほどの牽強付会をドラッカーの名の下に押し通す、霊言本すれすれのビジネス・ファンタジー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』。

・金を貰って観てやるレベルの『セカンドバージン』は誰もが寝ると思いますが、どうせ寝るなら寝床の方が健康的だと思います。
いや、これらの作品を観るぐらいなら明日のために寝ましょう。いいですよね、健康。


選外.機動戦士ガンダムUC/episode 4 重力の井戸の底で

↑ソフト発売に付帯したデジタル上映であり、イベントの一種なので評価の外とさせてもらいました。
てか、これだけでは作品全体の評価は無理ですし。
しかし巨大ロボットの戦闘シーンを巨大スクリーンで観る醍醐味を味わえましたぞ。館内満員でありました。



では、ベスト10行きます。


1.その街のこども 劇場版
2.サウダージ
3.英国王のスピーチ
4.Peace
5.東京公園
6.水曜日のエミリア
7.ブラック・スワン
8.イリュージョニスト
9.冷たい熱帯魚
10.スーパー!


・1位の『その街のこども 劇場版』は前年に放映されたNHKのドラマを劇場化したもので、阪神淡路大震災による心の傷を抱えた男女の交感をドキュメントタッチで描いています。(最下位の『セカンドバージン』もNHKドラマ。いったいどこで差が付いた…)
キャストはほぼ佐藤江梨子と森山未來だけ。この二人は実際に被災した経験を持ちます。
こういった、普通の人たちが出会い、衝突し、互いの違いを認識した上で手を携えていく作品が好きです。それは事の大小を問わず、人間という生き物の素晴らしい可能性だと思うからです。そのポイントが先述の『ウィンターズ・ボーン』と『フローズン・リバー』の評価の違いでもあります。
地味ですが、本当は手の届くところにある奇跡を照らし出してくれる名品でした。

・『サウダージ』かつての活気を失い、衰退の下り坂を転がっている地方都市、甲府を舞台にした群像劇です。
日本の地方行政、いや国策の失敗の成れの果てを在日外国人も含めて日常レベルで描き出しています。
これこそが本当の日本の姿かもしれません。
絵になる場面が多いのですが、ラスト、眩い商店街を歩いて行く回想シーンは本当に素晴らしい。
素人キャストも多いのですが、当事者(!)ならではの凄味も漂っています。
評判が評判を呼び、復活上映が相次いでいます。

・3位『英国王のスピーチ』は言わずと知れたアカデミー賞受賞作。
これも『その街のこども 劇場版』同様、「普通の人たちが出会い、衝突し、互いの違いを認識した上で手を携えていく」作品と言えます。(6位『水曜日のエミリア』もそう)
「普通の?」そうです。英国王もまた、弱くて孤独な一人の人間。身分というハードルを逆手に取った人間賛歌です。
これも泣いたなあ。


…うわ、すげー長文になってる!!!
長々とおつきあいいただき、どうもありがとうございましたm(_ _)m
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