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『ゴジラ対メガロ』 [レビューなど]

ゴジラシリーズに登場する唯一の人型ロボット、ジェットジャガーを観たい観たいとおもっていましたが、今回ようやく念願かなって池袋新文芸坐へ行って参りました。
「脚本 福田純」
というクレジットを見て嫌な予感はしてたんですよ。
ちなみにゴジラシリーズは、ほぼ本多猪四郎と福田純という二人の監督さんが撮っているのですが、前者は人間ドラマ、後者は怪獣アクションに力を置いています。
で、福田監督の作品はどれも子供だまし、というかいい加減な話が多いように思っておるのです。
しかし今回は違いました。
「子供だまし」どころのレベルではなかったのです。


北太平洋の核爆発実験によって被害を被った海底の超文明国家「シートピア」は、地上人への報復として怪獣メガロを目覚めさせ、東京へ向かわせます。
ちょっと待て!
こと核実験ならば、日本は100%関係ありませんから!
シートピアのリーダーはポセイドンみたいな格好をした凄い体毛の中年白人男性なのですが、どうやら国民はみな白人らしく、地上へ派遣された工作員2名も白人男性。
彼らが向かった先は発明オタクっぽい兄弟の家。
電子工学のスペシャリストである兄は、なんと人型リモートコントロールロボット「ジェットジャガー」を独力で開発していたのです!
どういう原理かわかりませんが何も付けずに自由自在に飛行できるジェットジャガーを、東京へのナビゲーターと見込んだシートピア人。
まんまと兄弟とその友人を縛り上げ、ジェットジャガーの奪取に成功します。
先進的な科学力を備えたシートピア人は、地震を起こして地割れを生じさせ、そこから地上と行き来することができます。
地上の征服には大量のジェットジャガーが必要と踏んだシートピア人は、開発者の兄とその幼い弟をコンテナに閉じ込め、本国に拉致するために最寄りの地割れに放り込むべくトラックを雇います。
なんかこのあたりの貧乏臭さ、とても高度な文明を持つ連中とは思えません。

一方、友人の方は用がないので研究所で縛り上げられていましたが、そこからジェットジャガーに指示を与えていた工作員を倒し、トラックの後を追います。
トラックでは「地割れのある湖は遠いから、このへんのダムにコンテナ落としちゃおう」とか駄々をこねる運転手(他1名)を工作員が銃で脅していましたが、隙を見て急斜面から落とされてしまいます。
うわ、殺されちゃったよ!w
荷台を傾けて今にもコンテナがダム湖へ落ちる、というそのとき、なんとジェットジャガーに導かれていたメガロがダムを破壊!
ちなみにこのメガロ。カブトムシの角にセミの顔、背中にはカミキリムシの羽といったある意味わかりやすいデザインです。
おりしも駆けつけた友人の目の前で落下するコンテナ…とその時、メガロがレシーブよろしくコンテナを跳ね上げ、そのまま隣の山の頂上へ着地!ちょうど蓋も外れ、兄弟は無事に脱出します。
って、こら待てー!

その頃メガロには自衛隊が攻撃を加えていました。
メーサー殺獣光線車まで動員するもどこかで見たような使い回し映像(『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』など)も交えた戦闘の末、壊滅します。
そこへ颯爽と現れた兄は、非常時のために超音波で指令できるペンダントでジェットジャガーを奪い返し、そのまま怪獣島のゴジラを連れてくるよう指令します。
友人と弟はラジコン飛行機などを駆使して研究室の工作員を撃破、戻ってきた兄と合流します。
しかし、そこへメガロが。
あわてて非難する3人。逃げ遅れた工作員はメガロが吹き飛ばした大岩の下敷きとなって死亡。

無事ゴジラとのコンタクトにこぎ着けたジェットジャガーは、謎のボディーランゲージを駆使してゴジラの同意を得ます。
海を泳ぐゴジラに対し、空を飛ぶジェットジャガーは一足先にメガロの元へ。
メガロと対峙したジェットジャガーはみるみるうちに巨大化します。
余りにも意外な展開です!
それを目の当たりにした兄。
「ゴジラが来るまでは自分が持ちこたえなきゃいけないという強い意志が、かれを巨大化させたんだ!」
みたいなことを口走る。
ふざけろ。いや、いくらロボットとはいえ、精神論でどうにかなる問題じゃないと思うぞw

目覚ましい戦いぶりでメガロを追い詰めるジェットジャガー。
しかし突如、高速で飛来してきた怪獣が襲いかかります。
彼こそは、凄い体毛のリーダーが電話一本で呼び寄せた宇宙怪獣、ガイガンでした。
なぜガイガンを作った宇宙人が縁もゆかりもない海底人に力を貸す気になったのか、一切触れられません。
メガロとガイガンに代わる代わるストンピングを見舞われるジェットジャガー。脇腹から火花が散ってショート寸前です。
そこへようやく我らの味方、ゴジラ登場。
ここからはアクション主体の福田監督の見せ所、2対2のタッグ戦の様相を呈してきた戦闘をじっくり描きます。
まあ、いろいろあって空中から攻撃を加えるガイガンをジェットジャガーがたたき落とします。
あれ?さっきまでショートしかけてたのに…。
さすが根性で巨大化したロボットはひと味違います。気合いだー!
メガロはといえば、仰向けに倒された状態で口から飛ばした爆弾を口の中に落としてしまい、頭部からぶすぶす煙を出す有様。
なにやってるんだよ!
ガイガンはしっぽを巻いて逃げ出し、メガロも体毛リーダーの撤退命令で閉じゆく地割れの中に姿を消しました。
あれ?根本的な問題はなにひとつ解決してないような気がするんですが…。

栄えある勝者、ゴジラとジェットジャガーは固い握手を交わします。
そして海の彼方の怪獣島へ帰っていくゴジラ。
かたやジェットジャガーは駆け寄ってきた3人組の前でしゅしゅしゅ、と元の大きさに縮み、ともに家路につくのでした…。


攻撃目標の明瞭な誤り、ジェットジャガー突然の巨大化、なぜ海底人がガイガンを呼べるのか、など観る者をぶっちぎりで置き去りにしていく破綻っぷりは、「子供だまし」で片付けられるレベルではありません。
確かに制作サイドは低予算に頭を悩ませていたそうですし、極めて限られたキャストと映像の使い回しなどからそのへんの台所事情は察することが出来ます。
でも、予算の多寡以前に、ストーリー自体が破綻してませんかねえ?
数あるゴジラシリーズでも福田監督自身が脚本を担当したのは本作だけです。
このへんに、突き抜けたトホホ感を解く鍵があるのではないでしょうか。いや、そのまんまか。

ちなみにこの作品、おそらく本来の意図とは別に大いに楽しませてもらったので、終劇に合わせてノリノリで拍手したのですが続く人はいませんでした。
これでは自分がバカみたいじゃないですか!
悔し紛れに物販で岸田森のブロマイドを買っちゃいましたよ。
まるで意味がわかりませんね。はい。
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